親愛なる君へ

あの日から、僕はどれだけ変われたんだろう。どれだけ成長できたんだろう。

あの日、君が僕に別れを告げた日、僕は何が起きたのか理解できなかった。いや、理解したくなかった。付き合ってもうすぐ三年。僕らの関係が変わるはずないって思ってた。少しくらい離れてたって問題ないって思ってた。

でも、それは全部僕の思い込みで。君の気持ちが僕から離れてしまってたことにも気づかないで。面と向かって言われてもそれを受け入れられなくて。

それからは後悔の連続で。あの頃の気持ちをどこかに置き去りにしてしまってたことにやっと気づいたり。表面的なことばっかりで君の内に踏み込もうとすることを忘れてしまってたことに愕然としたり。

後悔の先には苦しみがあって。君のことが忘れられなくて。君のことが諦められなくて。でもその頃にはもう君には新しいひと恋人がいた。身動きが取れないまま、気持ちだけが空回り。迷路を彷徨っているような、出口の見えないトンネルを歩きつづけているような、螺旋の中で立ち止ってしまっているような、自分自身がわからなくなる日々が続いて。

あれからもう随分と経った。僕と君は違う道を歩んでいて、あの頃のことを思い出すとちょっと胸が痛くなるけど、僕は少しは変われたかな。同じことを繰り返さないくらいには大人になれたのかな。ねえ、もし二人でお酒でも飲む機会があったら、笑ってあの頃の話ができるかな。できたらいいな。

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